専門卒公務員の年収はいくら?職種別・年代別の相場とアップ方法
「専門卒で公務員になると、年収はどのくらい得られるのか」「大卒や高卒と比べてどれくらい差があるのか」と気になっていませんか。
公務員は安定した職業として知られていますが、学歴ごとの初任給や昇給の伸び方、職種ごとの相場が見えづらいために判断に迷う方も多いはずです。
本記事では、専門卒公務員の年収を職種別・年代別に分けて整理し、ボーナスや退職金、年収を上げる方法、専門卒で受けられる公務員試験の区分まで、総務省や人事院の最新データをもとに解説します。
民間就職と迷っているケースでも、進路を判断するための材料がそろう構成になっています。
専門卒で公務員になった場合の年収を、データに基づいてしっかり把握したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.専門卒公務員の年収はいくら?平均と全体像

専門卒公務員の年収は、地方公務員(一般行政職)の短大卒区分で初任給が月18万3,790円、初年度年収で約303万円が目安です。
総務省「令和6年地方公務員給与の実態」をもとにすると、専門卒(短大卒区分)の初任給は大卒より月約1万8,000円低く、高卒より月約1万3,000円高い水準にあります。
勤続年数に応じた定期昇給制度のもとで、30代・40代と着実に年収が伸び、生涯賃金は約2億円前後が一般的な水準です。
この章では、次の5つの観点で専門卒公務員の年収の全体像を整理します。
- 専門卒公務員の平均年収はいくら?
- 専門卒と大卒・高卒で公務員の年収はどう違う?
- 専門卒公務員のボーナスはいくら?
- 専門卒公務員の退職金はいくら?
- 公務員と民間企業の年収はどちらが高い?
観点1.専門卒公務員の平均年収はいくら?
専門卒公務員の平均年収は、20代で約300万円、30代で約450万円、40代で約590万円、50代で約650万円が目安です。
この水準は、総務省「令和6年地方公務員給与の実態」に基づく市役所職員(一般行政職)の年代別平均年収から推計しています。
専門卒の初任給は、短大卒区分が適用されるケースが多く、月額18万3,790円が全国平均となっています。
ここから、諸手当を含めた初年度の年収は、地方公務員一般行政職で約303万円が目安です。
専門卒公務員の強みは、給与が法律や条例で定められている点にあります。
景気変動の影響を受けにくく、勤続年数に応じて着実に昇給するため、長期的な見通しを立てやすい給与体系です。
専門卒公務員の年収は、20代では民間と比べて高くないものの、30代以降で安定的に伸び、生涯賃金で約2億円前後に達する設計になっています。
20代のうちは年収300万円台で推移しますが、これは年功序列の昇給制度のもとで設計されたもので、世代を重ねるほど安定した収入が見込めます。
観点2.専門卒と大卒・高卒で公務員の年収はどう違う?

専門卒と大卒・高卒の公務員の年収は、初任給で月1万円台から2万円台の差があり、勤続年数を重ねるごとにその差が大きくなる傾向があります。
総務省「令和6年地方公務員給与の実態」によると、地方公務員(一般行政職)の初任給は学歴別に次のような水準です。
| 学歴 | 初任給(月額) | 初年度年収の目安 |
| 大卒 | 201,981円 | 約333万円 |
| 短大卒(専門卒相当) | 183,790円 | 約303万円 |
| 高卒 | 170,535円 | 約281万円 |
専門卒の場合、地方自治体や省庁では「短大卒区分」または「専門卒区分」での採用となるのが一般的です。
学歴間の差は、初任給時点で月1万3,000円から1万8,000円程度にとどまります。
しかし、昇格スピードや到達できる役職に違いがあるため、40代以降には年収差が拡大する傾向です。
特に課長以上の管理職ポストは大卒区分の職員が優先される自治体が多く、長期的なキャリアの天井に差が生じやすくなります。
専門卒は初任給で大卒より月約1万8,000円低いものの、勤続による昇給で差を縮められる設計になっています。
なお、専門学校で取得した資格が業務に直結する職種(医療職・技術職など)では、専門卒のスタート位置が大卒と同等になるケースもあります。
観点3.専門卒公務員のボーナスはいくら?
専門卒公務員のボーナスは、年間で基本給の約4.65カ月分が支給されます。
人事院「令和7年人事院勧告」によると、国家公務員の期末手当・勤勉手当(ボーナス)は2025年に従来の年間4.60カ月分から4.65カ月分に引き上げられました。
地方公務員もこの勧告に準じる自治体が多く、ほぼ同水準のボーナス支給月数が適用されます。
専門卒公務員のボーナス額を試算すると、次のような目安になります。
| 年代 | 基本給月額の目安 | 年間ボーナス(4.65カ月分) |
| 20代 | 約20万円 | 約93万円 |
| 30代 | 約27万円 | 約126万円 |
| 40代 | 約34万円 | 約158万円 |
| 50代 | 約40万円 | 約186万円 |
期末手当とは、生活費補助の性格をもつ手当のことで、勤勉手当とは勤務成績に応じた手当を指します。
両方を合わせたものが、いわゆる公務員のボーナスです。
民間企業のボーナスは企業の業績によって大きく変動しますが、公務員のボーナスは法律や条例で支給月数が定められているため、年ごとの変動が小さい特徴があります。
専門卒公務員のボーナスは、景気の影響を受けにくく、毎年安定して4カ月分以上が支給される点が民間との大きな違いです。
景気後退期でも極端に減額されにくいため、ローンや家計の長期計画を立てやすいメリットもあります。
観点4.専門卒公務員の退職金はいくら?
専門卒公務員の退職金は、定年まで勤続した場合で約2,100万円が目安です。
内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況(令和5年度)」によると、国家公務員(常勤職員)が定年退職した場合の退職手当の平均額は約2,112万円となっています。
地方公務員も国家公務員退職手当法に準じた制度設計のため、ほぼ同水準で、総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」では地方公務員の定年退職金の平均は約2,122万円という結果でした。
退職金は、退職日の俸給月額に「退職理由別・勤続期間別支給割合」を乗じた基本額と、勤務成績による調整額の合計で算出されます。
勤続年数が長くなるほど支給率が大きく上昇し、勤続35年以上で基本給の40カ月分以上が支給される仕組みです。
専門卒で18歳から20歳ごろに勤務を開始した場合、定年まで勤めれば40年以上の勤続年数となり、退職金の上限近くまで到達できる可能性があります。
専門卒は早くから公務員として勤務を始められるため、大卒よりも勤続年数が長くなり、退職金で有利になる場面があります。
一方、自己都合退職の場合は支給率が大幅に下がり、勤続20年で約930万円、勤続30年で約1,675万円程度にとどまります。
退職金を最大化するには、定年まで勤め上げる前提でキャリアを設計することが鍵となります。
観点5.公務員と民間企業の年収はどちらが高い?
公務員と民間企業の年収は、短期的には民間が、長期的には公務員が有利になる傾向があります。
人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査」では、国家公務員全職種の平均年収は約684万円、総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」では地方公務員の平均年収は約666万円という結果でした。
これに対し、民間企業の平均年収は業種や企業規模で大きく変動し、20代では民間の方が高いケースもあれば、40代以降は公務員の方が高くなるケースもあります。
公務員と民間企業の年収を主な観点で比較すると、次のように整理できます。
| 比較項目 | 公務員 | 民間企業 |
| 若手の年収 | 控えめ(昇給は緩やか) | 業種により高いケースあり |
| 中高年の年収 | 安定的に上昇 | 業績次第で変動 |
| ボーナス | 年4.65ヶ月分で安定 | 業績により変動 |
| 退職金 | 定年で約2,100万円 | 大企業で約2,140万円、中小企業はより低い |
| 雇用の安定 | 解雇リスクが極めて低い | リストラ・業績悪化のリスクあり |
| 副業の自由度 | 原則制限あり | 企業次第(解禁する企業が増加) |
公務員は、短期で高収入を狙うより、長期で安定した収入と退職金を確保したい人に向いた給与体系です。
民間企業の中でも大手企業や成長業界では公務員を上回る年収を得られるケースがありますが、業績次第で減給や解雇のリスクも伴います。
公務員は給与の伸びが緩やかな反面、福利厚生や年金制度を含めたトータルの待遇では民間に劣らない水準を維持しやすい点が特徴です。
2.専門卒公務員の年収は職種でどう違う?

専門卒公務員の年収は、選ぶ職種によって生涯で数百万円から1,000万円単位の差が生じます。
人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査」では、行政職の平均俸給月額が約32.4万円、警察・消防などの公安職が約32.8万円、医療職に至っては約51.5万円と、職種ごとに大きな差があることが示されています。
この章では、専門卒で就ける主要な公務員職種ごとの年収相場を、次の5つの観点で整理します。
- 地方公務員(市役所・県庁職員)の年収はいくら?
- 警察官・消防士・自衛官の年収はいくら?
- 国家公務員(税務職・裁判所職員)の年収はいくら?
- 技術職・医療職など専門職公務員の年収はいくら?
- 学校事務職員・図書館司書の年収はいくら?
職種1.地方公務員(市役所・県庁職員)の年収はいくら?
地方公務員(市役所・県庁の一般行政職)の専門卒の年収は、初年度で約303万円、平均で約567万円から666万円が目安です。
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、市役所職員(一般行政職)の平均給料月額は約31万9,094円、平均年収は約567万円となっています。
都道府県庁を含めた地方公務員全体では、平均年収が約666万円という結果でした。
地方公務員の年収は、自治体の規模と地域手当の有無によって変動します。
たとえば、地域手当の支給率が高い東京都・大阪市などの都市部では、地方の中小自治体より年収が数十万円高くなる傾向です。
地方公務員の年収は、平均で600万円台に到達し、大都市圏の自治体ほど地域手当の上乗せで年収が伸びやすい構造になっています。
専門卒で地方公務員を目指す場合は、自治体ごとの初任給と地域手当の支給率を事前に確認しておくと、より正確な年収の見通しが立てられます。
職種2.警察官・消防士・自衛官の年収はいくら?
警察官・消防士・自衛官の年収は、一般行政職よりも10〜15%程度高く、専門卒で30代後半に年収500万円台、40代で600万円台に到達するのが一般的です。
人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査」では、公安職の平均俸給月額は約32.8万円で、平均年齢が約39.5歳と行政職より若いにもかかわらず行政職の俸給を上回っています。
これは、危険業務に対する手当が手厚く設定されていることが背景にあります。
警察官・消防士・自衛官の給与に上乗せされる主な手当は、次のとおりです。
- 特殊勤務手当(危険業務や夜間業務に対する手当)
- 夜勤手当・特勤手当(消防・警察の夜間勤務に対する手当)
- 営内手当(自衛官特有の手当)
- 各種訓練手当(自衛官・警察官の訓練参加に対する手当)
自衛官の場合、専門卒で「一般曹候補生」または「自衛官候補生」として採用されるケースが多く、階級が3曹に昇進する20代後半で年収400万円台、1曹以上の30代後半で年収500万円を超えるのが一般的な水準です。
公安職は基本給に加えて危険手当・夜勤手当などの上乗せが充実しており、専門卒でも比較的早い段階で年収500万円台に届く設計になっています。
体力的な負担や勤務時間の不規則さがある一方、住宅手当や宿舎の提供など福利厚生が手厚いため、トータルの待遇で見ると安定性が高い職種といえます。
職種3.国家公務員(税務職・裁判所職員)の年収はいくら?
国家公務員の税務職員・裁判所職員の年収は、地方公務員よりやや高く、専門卒で30代後半に年収500万円台、40代で600万円台に到達する水準です。
人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査」によると、国家公務員全職種の平均年収は約684万円で、地方公務員平均(約666万円)を上回っています。
税務職員は国税庁に所属し、税務調査や納税指導を担当する職種で、税務職俸給表が適用されます。
行政職俸給表と比べて約7〜10%高く設定されているため、同じ勤続年数でも年収が高くなる仕組みです。
裁判所職員は、書記官や事務官として勤務し、行政職俸給表(一)が適用される一般的な国家公務員と同水準の年収を得られます。
国家公務員は全国転勤の可能性がある点が、地方公務員との大きな違いです。
転勤手当や赴任手当が支給されるため、転勤に伴う一時的な収入増もあります。
国家公務員は地方公務員より平均年収が高い一方、全国転勤を伴う前提でキャリアを設計する必要があります。
専門卒で国家公務員を目指す場合は、後述するFAQ章で解説する「高卒程度試験」または「専門職試験」の受験区分を確認することが第一歩となります。
職種4.技術職・医療職など専門職公務員の年収はいくら?
技術職・医療職など専門職公務員の年収は、行政職より10〜30%程度高く、医療職では平均年収700万円から800万円台に到達するケースもあります。
人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査」によると、医療職俸給表(一)の適用者の平均俸給月額は約51.5万円、研究職俸給表の適用者は約40万円台と、行政職(約32.4万円)を大きく上回ります。
専門卒で就ける主な専門職公務員は、次のとおりです。
- 土木技術職・建築技術職(公共工事の設計・監督)
- 保健師・助産師(保健所・地域保健業務)
- 診療放射線技師・臨床検査技師(公立病院勤務)
- 栄養士・調理師(学校給食・公立病院勤務)
これらの職種は、専門学校で取得した資格が直接的に活かされるため、専門卒のスタート位置が大卒と同等になるケースがあります。
特に医療系国家資格を持つ職種は、医療職俸給表の適用により、初任給時点で月20万円台前半から始まるのが一般的です。
専門卒で医療系資格を持つ場合、行政職より高い俸給表が適用され、生涯賃金で1,000万円以上の差が生まれることがあります。
専門学校時代に取得した資格を活かせる職種を選ぶことで、年収面で大卒との差を縮めやすくなります。
職種5.学校事務職員・図書館司書の年収はいくら?
学校事務職員・図書館司書の年収は、公務員職種の中では比較的控えめで、専門卒で30代に約400万円、40代で約500万円が目安です。
学校事務職員は地方公務員(学校事務職)として採用され、行政職俸給表に準じた給与体系が適用されます。
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」をもとにすると、学校事務職の平均年収は地方公務員全体平均(約666万円)よりやや低い水準にあります。
図書館司書も同様に、行政職俸給表が適用される自治体が多く、給与水準は学校事務職と近いのが一般的です。
ただし、図書館司書の正規採用枠は自治体ごとに少なく、非常勤・会計年度任用職員での採用が多い点に注意が必要です。
正規採用の場合は他の地方公務員と同水準の安定した収入が得られますが、非常勤の場合は年収300万円前後にとどまるケースもあります。
学校事務職員・図書館司書は他の公務員職種より年収が控えめになる一方、勤務時間が安定し、ワークライフバランスを重視する人に向いた職種です。
年収面での向上を目指す場合は、行政職への配置転換や、教育委員会内での昇進ルートを意識したキャリア設計が必要になります。
3.専門卒公務員の年収は年代別にどう推移する?

専門卒公務員の年収は、20代で約300万円台、30代で約450万円、40代で約590万円、50代で約650万円と、年代を重ねるごとに段階的に上昇します。
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」に基づく地方公務員(一般行政職)の年代別平均年収は、勤続年数に応じた定期昇給と昇格による年収アップが反映された結果です。
この章では、専門卒公務員の年収推移を、次の6つの観点で整理します。
- 20代の専門卒公務員の年収はいくら?
- 30代の専門卒公務員の年収はいくら?
- 40代の専門卒公務員の年収はいくら?
- 50代の専門卒公務員の年収はいくら?
- 定年後の専門卒公務員の年収はいくら?
- 専門卒公務員が年収600万円に到達するのは何歳?
20代の専門卒公務員の年収はいくら?
20代の専門卒公務員の年収は、初年度で約303万円、20代後半で約350万円が目安です。
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、地方公務員(一般行政職)の20代の平均年収は約348万円となっており、専門卒もこの近辺で推移します。
専門卒は18歳から20歳で勤務を開始するため、20代後半までに3〜8年の勤続年数を積むことになります。
定期昇給により、毎年基本給が数千円から1万円程度上昇するため、20代後半には初任給から月給ベースで3〜5万円の上昇が見込めます。
20代の公務員には、基本給に加えて以下の手当が支給されることが多いです。
- 通勤手当(公共交通機関の定期券分または車通勤の距離別手当)
- 住居手当(賃貸住宅入居者に最大月2万8,000円)
- 扶養手当(配偶者・子・父母などを扶養している場合)
- 地域手当(地域別の物価調整手当)
20代の専門卒公務員の年収は、民間企業の同年代と比べると控えめですが、ボーナスや福利厚生を含めた総合的な待遇で安定感があります。
若いうちに収入を増やしたい場合は、資格取得による手当の獲得や、後述する地方上級公務員への挑戦が選択肢となります。
30代の専門卒公務員の年収はいくら?
30代の専門卒公務員の年収は、30代前半で約430万円、30代後半で約470万円が目安です。
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、地方公務員(一般行政職)の30代の平均年収は約459万円となっています。
30代になると、主任や係長といった役職が付き始める時期に入ります。
昇格すると基本給のテーブルが上位に切り替わり、役職手当も加算されるため、年収の伸びが加速します。
また、住宅ローン世代に当たることが多く、住居手当の支給対象が変わる点も特徴です。
賃貸住宅の場合は月最大2万8,000円の住居手当が支給されますが、持ち家の場合は支給対象外となる自治体が一般的です。
30代の専門卒公務員は、定期昇給に加えて昇進による昇格昇給が始まり、世帯収入として安定感のある水準に到達します。
ただし、民間企業の同世代と比較すると、特に営業職や技術職などの成果報酬型の職種では、公務員の年収が見劣りするケースもあります。
30代でさらに年収を伸ばすには、昇進試験への挑戦や、職種に応じた資格取得が有効な手段です。
40代の専門卒公務員の年収はいくら?
40代の専門卒公務員の年収は、40代前半で約560万円、40代後半で約620万円が目安です。
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、地方公務員(一般行政職)の40代の平均年収は約593万円となっています。
40代では、課長補佐や課長といった管理職に昇進する人が増える時期です。
管理職に昇格すると、基本給のテーブル変更に加えて管理職手当が支給されるため、年収の伸びがさらに加速します。
専門卒の場合、40代前半までに課長補佐へ昇進するケースが一般的ですが、課長以上のポストは大卒区分の職員が優先される自治体も多く、昇進スピードに学歴差が出やすい年代でもあります。
ただし、専門性の高い職種(技術職・医療職など)では、専門卒でも課長以上のポストに昇進する事例があります。
40代の専門卒公務員は、勤続20年以上を迎え、退職金の積み立てが急増する時期にもあたります。
40代後半までに年収600万円台に到達することで、住宅ローンの繰上返済や老後資金の準備など、ライフプラン上の選択肢が大きく広がります。
50代の専門卒公務員の年収はいくら?
50代の専門卒公務員の年収は、50代前半で約640万円、50代後半で約660万円が目安です。
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」によると、地方公務員(一般行政職)の50代の平均年収は約652万円となっています。
50代は、役職定年制度との関係で年収のピークと折り返しを迎える時期です。
地方公務員・国家公務員ともに、60歳到達後は役職定年により基本給が約7割に減額される制度が導入されつつあります。
50代後半までに部長職・局長クラスに昇進している場合は、年収800万円以上に到達するケースもあります。
ただし、専門卒でこの水準に到達するのは、特定の専門職や、地方上級公務員区分で採用された場合に限られるのが実態です。
50代の専門卒公務員は、年収のピークを迎えると同時に、定年後のキャリア設計を真剣に考え始める時期に入ります。
退職金の試算と再任用制度の活用を組み合わせることで、定年後の収入面の不安を抑えることが可能になります。
定年後の専門卒公務員の年収はいくら?
定年後の専門卒公務員の年収は、再任用制度を利用した場合で、現役時代の50〜70%程度が目安です。
公務員の定年は段階的に65歳まで引き上げられている最中で、令和7年度時点で61歳定年、令和13年度には65歳定年へ移行する予定となっています。
再任用制度とは、定年退職後に短時間勤務またはフルタイムで再雇用される制度のことです。
再任用後の年収は、フルタイム勤務で約300〜400万円、短時間勤務で約200〜300万円が目安となります。
定年退職時には退職手当として平均約2,100万円が支給され、これに加えて再任用後の給与と公的年金で老後の生活費を賄う設計になっています。
人事院給与局・内閣官房内閣人事局「国家公務員の60歳以降の働き方について」によると、60歳以降の役職定年で基本給が7割に減額されますが、住居手当や扶養手当は減額されないという制度設計です。
定年後の専門卒公務員は、再任用制度と年金、退職金を組み合わせることで、現役時代の8割程度の生活水準を維持しやすい設計になっています。
退職後の家計プランは、退職金の運用方法も含めて50代のうちに準備しておくと安心です。
専門卒公務員が年収600万円に到達するのは何歳?
専門卒公務員が年収600万円に到達するのは、40代後半が一般的な目安です。
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査」に基づくと、地方公務員(一般行政職)の40代後半で年収約620万円となり、このタイミングで600万円ラインを超えるのが標準的です。
年収600万円到達の目安は、勤務先と昇進ルートによって変動します。
役職別の到達目安は、次のように整理できます。
| 役職段階 | 到達目安年齢 | 備考 |
| 一般職のまま | 40代後半 | 定期昇給のみで到達 |
| 主任・係長 | 40代前半 | 昇格手当が加わるため早期到達 |
| 課長補佐 | 30代後半〜40代前半 | 管理職手当の加算で大幅アップ |
大都市圏の自治体や、地域手当の支給率が高い勤務先では、30代後半で600万円に到達するケースもあります。
一方、地方の小規模自治体では、50代に入ってから到達するパターンも珍しくありません。
年収600万円を早めに到達したい場合は、昇進試験に積極的に挑戦するか、地域手当の高い大都市圏の自治体を選ぶことが現実的な打ち手です。
専門卒でも、後述する地方上級公務員区分への挑戦により、昇進スピードを早めて600万円到達を前倒しできる可能性があります。
4.専門卒公務員のキャリアと働き方はどうなる?

専門卒公務員のキャリアは、定期昇給と昇進試験による昇格昇給で年収が上がり、係長・課長補佐までは比較的到達しやすい構造になっています。
ただし、課長以上の管理職ポストは大卒区分の職員が優先される自治体が多く、最終的なキャリアの天井に学歴差が出やすいのも実態です。
この章では、専門卒公務員のキャリアと働き方を、次の3つの観点で整理します。
- 公務員の昇給・昇進の仕組みは?
- 専門卒で管理職になれる?キャリアの天井は?
- 公務員の異動や転勤の有無は職種でどう違う?
公務員の昇給・昇進の仕組みは?
公務員の昇給は、毎年の「定期昇給」と、役職昇格に伴う「昇格昇給」の2本柱で成り立っています。
定期昇給とは、勤続年数に応じて毎年自動的に基本給が増額される制度のことです。
公務員は年1回の定期昇給で、基本給に数千円から1万円程度が加算される仕組みになっています。
昇格昇給とは、係長・課長補佐・課長などの役職に昇進することで給与テーブルが上位に切り替わり、基本給が大幅にアップする制度です。
定期昇給より昇給幅が大きく、年収増加への影響力が高い昇給ルートとなっています。
公務員の給与構造を整理すると、次のようになります。
- 基本給(俸給):行政職俸給表などの級・号俸で決まる本給
- 役職手当:係長以上の役職者に支給される手当
- 期末手当・勤勉手当(ボーナス):年4.65カ月分が法令で定められた支給月数
- その他諸手当:扶養手当・住居手当・地域手当・通勤手当など
公務員の昇給は、勤続年数だけで上がる定期昇給と、昇進試験に合格して役職を上げる昇格昇給の組み合わせで決まります。
景気変動の影響を受けず、毎年安定的に基本給が上昇するため、長期的な収入の見通しを立てやすいのが大きな特徴です。
専門卒で管理職になれる?キャリアの天井は?
専門卒公務員でも管理職への昇進は可能ですが、大卒区分の職員と比べると、課長以上のポストに就くハードルがやや高いのが実態です。
公務員の昇進は、学歴ではなく勤務評価と昇進試験で決まる建前ですが、実態として大卒区分の職員が管理職候補として優先される自治体が多い傾向があります。
専門卒で到達できる役職の一般的な目安は、次のように整理できます。
| 役職 | 専門卒の到達可能性 | 備考 |
| 主任 | ほぼ全員到達可能 | 勤続10年程度で昇格 |
| 係長 | 多くの職員が到達 | 昇進試験に合格すれば可能 |
| 課長補佐 | 半数程度が到達 | 評価と試験次第 |
| 課長 | 一部が到達 | 大卒区分が優先される傾向 |
| 部長・局長 | 限定的 | 専門職や地方上級採用が中心 |
専門卒でも昇進試験で高評価を得たり、技術職・医療職など専門性の高い職種では、課長以上の管理職に昇進する事例があります。
専門卒で管理職を目指す場合は、係長までは勤続と評価で十分到達でき、それ以降は昇進試験での実績と専門性が鍵になります。
学歴によるキャリアの天井はゼロではないものの、本人の実績次第で広げられる余地は十分にあるといえます。
公務員の異動や転勤の有無は職種でどう違う?
公務員の異動や転勤の有無は、地方公務員と国家公務員で大きく異なります。
地方公務員の場合、原則として採用自治体内での異動が基本で、勤務地が県外に変わることはほとんどありません。
たとえば、市役所職員であれば市内の部署間異動、都道府県庁職員であれば県内の出先機関を含む異動が中心となります。
国家公務員の場合は、全国転勤の可能性があるのが大きな違いです。
特に税務職員や財務省・国土交通省などの省庁職員は、数年ごとに全国の地方機関へ転勤するケースが一般的です。
警察官・消防士・自衛官の異動についても、職種ごとに違いがあります。
- 警察官:原則として採用都道府県内での異動が基本
- 消防士:採用市町村内での異動が中心
- 自衛官:全国の駐屯地・基地への転勤が頻繁
地元で長く働きたい場合は地方公務員、転勤を伴うキャリアでも問題ない場合は国家公務員が、それぞれ向いた選択肢になります。
進路を決める際は、年収だけでなく、転勤の有無と生活拠点の変動も含めて検討することが大切です。
5.専門卒公務員のメリット・デメリットは何?

専門卒公務員として働くメリットは、雇用と昇給の安定性、退職金や福利厚生の手厚さにあります。
一方、デメリットとして、若いうちの年収の低さ、成果反映の遅さ、副業制限の厳しさが挙げられます。
この章では、専門卒公務員のメリットとデメリットを、次の2つの観点で整理します。
- 専門卒公務員として働くメリットは何?
- 専門卒公務員として働くデメリットは何?
専門卒公務員として働くメリットは何?
専門卒公務員として働く最大のメリットは、現役時代から老後までの生活設計を立てやすい点にあります。
公務員の給与・賞与・退職金は法律や条例で定められているため、景気変動の影響を受けにくく、長期的な収入の見通しが明確です。
専門卒で公務員になる主なメリットは、次のとおりです。
- 雇用が安定しており、解雇のリスクがほぼない
- 毎年の定期昇給で基本給が安定的に上昇する
- ボーナスが法令で支給月数(年4.65カ月分)が定められ、変動が少ない
- 退職金が定年退職で平均約2,100万円と高水準
- 福利厚生(住居手当・扶養手当・地域手当・育休制度)が手厚い
- 共済組合の医療・年金制度で自己負担が軽減される
- 大卒より早く社会に出るため、勤続年数が長くなり退職金が増えやすい
専門学校で取得した資格を活かせる職種(技術職・医療職)を選んだ場合は、行政職より高い俸給表が適用されるため、収入面でさらに有利になります。
専門卒公務員のメリットは、人生全体を通じた経済的な見通しの立てやすさと、福利厚生を含めたトータルでの安定性にあります。
住宅ローンや教育費の計画を組みやすく、長期にわたって安心して働きたい人に向いた働き方といえます。
専門卒公務員として働くデメリットは何?
専門卒公務員として働くデメリットは、短期間で収入を大きく伸ばしにくい点や、副業の自由度が制限される点にあります。
公務員の給与体系は年功序列が基本のため、若いうちは民間企業より年収が低くなる傾向があります。
成果を出してもすぐに年収に反映されにくく、昇給は年1回の定期昇給と昇進試験を待つ必要があります。
専門卒で公務員になる主なデメリットは、次のとおりです。
- 20代の年収が民間より低くなりやすい
- 昇給スピードが緩やかで、成果反映が遅い
- 副業が国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条で原則制限される
- 数年ごとに部署異動があり、専門性を一方向に深めにくい
- 国家公務員の場合は全国転勤の可能性がある
- 課長以上の管理職ポストで大卒区分が優先される自治体がある
国家公務員法第104条と地方公務員法第38条では、営利企業への従事や報酬を伴う業務への参加には任命権者の許可が必要とされており、自由に副業を行うことはできません。
専門卒公務員のデメリットは、年収の伸びの遅さと副業制限であり、収入の上限を早く伸ばしたい人には向きにくい働き方です。
民間企業と比較する際は、安定性とのトレードオフであることを理解したうえで、自分の優先順位に合うかを判断することが重要になります。
6.専門卒公務員が年収を上げるにはどうすればいい?

専門卒公務員が年収を上げる主な方法は、昇進試験で昇格する、職種に応じた資格を取得して手当を増やす、地方上級公務員区分に挑戦する、の3つです。
年功序列の昇給制度のもとでは、何もしなくても勤続年数に応じて年収は上がりますが、現役時代の年収を最大化したい場合は能動的な行動が必要になります。
この章では、専門卒公務員が年収を上げる方法を、次の3つの観点で整理します。
- 昇進・昇格で年収を上げる方法は?
- 資格取得で手当を増やす方法は?
- 地方上級公務員へのキャリアアップ方法は?
昇進・昇格で年収を上げる方法は?
昇進・昇格で年収を上げる最も確実な方法は、昇進試験への積極的な挑戦と、勤務評価で高い評定を得ることです。
公務員の昇進は、自治体や省庁が実施する昇任試験の合格と、上司による勤務評価の結果で決まります。
昇進試験の主な内容は、次のような構成になっています。
- 筆記試験(法令・憲法・行政実務に関する知識)
- 論文試験(行政課題への提案力・文章構成力)
- 面接試験(管理職としての適性・コミュニケーション能力)
係長・課長補佐に昇進すると、基本給のテーブルが上位に切り替わるだけでなく、役職手当が支給されるため、年収で50万円から100万円のアップが見込めます。
さらに課長以上に昇進すると、管理職手当が加算され、年収700万円台から800万円台に到達することも可能です。
昇進試験は若いうちから準備するほど合格率が上がり、結果的に生涯賃金が大きく変わります。
20代後半から30代前半のうちに昇進試験の対策を始めることで、40代前半で課長補佐、40代後半で課長というキャリアを実現しやすくなります。
資格取得で手当を増やす方法は?
資格取得で手当を増やす方法は、職種に直結する資格を選び、自治体や省庁が支給対象としている資格を狙うことです。
公務員には、特定の資格を取得すると毎月の給与に資格手当が上乗せされる制度があります。
職種別の主な資格と手当の例は、次のとおりです。
| 職種 | 有効な資格 | 手当の概要 |
| 土木・建築技術職 | 1級土木施工管理技士・1級建築士 | 月数千円〜数万円の資格手当 |
| 消防士 | 救急救命士・消防設備士 | 救急救命士手当・特殊勤務手当 |
| 保健師・看護師 | 認定看護師・専門看護師 | 専門資格手当 |
| 事務職 | 簿記2級以上・社会保険労務士 | 昇進時の評価加点 |
資格取得は、直接的な手当の獲得だけでなく、昇進試験での評価加点にもつながります。
特に技術職や医療職の上位資格は、専門知識の証明として人事評価で重視される傾向があります。
専門卒で取得しやすい資格を組み合わせると、年収を月数千円〜数万円単位で底上げできる効果があります。
専門学校時代の専攻を活かせる資格から優先的に取得していくと、効率よく年収アップを実現できます。
地方上級公務員へのキャリアアップ方法は?
地方上級公務員になる方法は、自治体が実施する「上級区分」採用試験を受験することです。
地方上級公務員とは、地方自治体の上級職区分で採用される公務員で、一般行政職よりも初任給と昇進ルートが優遇されるポジションを指します。
地方上級と一般行政職の主な違いは、次のように整理できます。
- 初任給:上級区分の方が月1〜2万円程度高い水準で始まる
- 昇進スピード:上級区分の方が管理職への到達が早い
- 受験要件:上級区分は大卒程度の学力を要求する自治体が多い
- 試験難易度:上級区分の方が筆記試験のレベルが高い
専門卒で地方上級公務員を目指す場合は、受験要件を満たす必要があります。
一部の自治体では「専門学校卒業者または同程度の学力を有する者」として、専門卒の受験を認めるケースがあります。
ただし、試験難易度は大卒区分と同等であるため、独学または公務員予備校での試験対策が必須です。
地方上級公務員への挑戦は、専門卒からのキャリアアップ手段として最も大きな年収アップ効果が見込める方法です。
長期的に年収を伸ばしたい場合は、初級・中級区分での採用後に上級昇任試験を受けるルートと、最初から上級区分を受験するルートの両方を検討する価値があります。
7.専門卒で公務員になるか迷うときの進路整理方法は?

専門卒で公務員になるか迷うときは、年収・転勤・副業の3軸で判断基準を決め、公務員試験と民間就職を併願して機会損失を防ぐ方法が現実的です。
判断軸を持たずに比較すると、「安定してそう」「年収が高そう」といった抽象的な印象で揺れ続けるため、進路選択を進めにくくなります。
この章では、専門卒で公務員になるか迷うときの進路整理方法を、次の3つの観点で整理します。
- 公務員にするかを判断する軸の決め方
- 公務員と民間を併願する方法
- 年収以外に見ておくべきポイント
整理1.公務員にするかを判断する軸の決め方
公務員にするかを判断する軸は、自分が譲れない条件を3つに絞り、優先順位を明確にすることが第一歩です。
判断軸が定まっていないと、進路情報を集めるたびに比較基準が変わり、最終的な意思決定が遅れがちになります。
専門卒で公務員と民間を比較する際の主な判断軸は、次のとおりです。
- 収入の上限:短期で高収入か、長期で安定収入か
- 雇用の安定:解雇・リストラのリスク許容度
- 転勤・異動:地元勤務希望か、全国転勤を許容できるか
- 残業時間:プライベートとの両立の優先度
- 副業の自由度:給与外収入の確保を望むか
- 仕事の裁量:マニュアル業務型か、自分で仕事を作る型か
判断軸を3つに絞ると、迷いの原因が「比較しすぎ」なのか「情報不足」なのかが明確になります。
「公務員にするか迷う」という状態の多くは、判断軸が定まっていないことが原因のため、まずは譲れない条件の洗い出しから始めることをおすすめします。
整理2.公務員と民間を併願する方法
公務員と民間を併願する方法は、公務員試験の結果が出るまで時間がかかることを前提に、民間就職活動を並行して進めることです。
公務員試験は出願から最終合格まで半年から1年近くかかることがあり、結果待ちの期間に何もしないと、機会損失が大きくなります。
併願戦略の主なメリットは、次のとおりです。
- 公務員試験の結果が出るまでに民間の内定を確保できる
- 民間就活で得た経験が公務員の面接対策にも活かせる
- 複数の選択肢を持つことで、最終判断時の納得感が高まる
- 民間の年収・条件と比較したうえで公務員を選べる
民間就職を並行する場合は、IT業界・サービス業・製造業など、未経験から応募できる業界を中心に検討することが現実的です。
特にIT業界は人材不足が続いているため、専門卒・未経験からでも採用される枠が広く用意されています。
公務員一本に絞らず、民間も併願することで、結果がどう転んでも前に進める状態を作れます。
進路選択における「選択肢を残す動き方」は、専門卒という時期的な強みを活かす上でも有効な戦略です。
整理3.年収以外に見ておくべきポイント
進路を決めるときは、年収以外の条件も合わせて確認することが大切です。
同じ年収でも、生活のしやすさは働き方によって大きく変わるため、年収だけで判断すると入社後にミスマッチが生じやすくなります。
年収以外で確認しておくべき主なポイントは、次のとおりです。
- 残業時間と休日の取りやすさ
- 転勤の有無と頻度
- 福利厚生の内容(住宅手当・育休・社員寮など)
- 部署異動の頻度と方向性
- 副業制限の有無と程度
- 評価制度(成果重視か年功序列か)
- 将来性(業界の成長性・組織の安定性)
公務員は安定性が大きな強みである一方、変化の少なさや副業制限が合わないと感じる人もいます。
民間企業は業種・企業ごとに条件が大きく異なるため、個別企業の情報を集めて公務員と比較することが必要です。
年収と働き方をセットで見ると、自分にとって本当に合う進路が見えやすくなります。
進路選択の最終判断では、数値で比較できる年収だけでなく、定性的な働き方の条件も同じ重みで検討することが、後悔のない選択につながります。
8.専門卒公務員の年収に関するよくある質問

専門卒で公務員を目指す方からよく寄せられる質問を、5つの観点でまとめます。
ここでは、公務員試験の区分から副業可否、生涯賃金の差まで、進路選択で判断材料になる派生疑問にお答えします。
- 専門卒で受けられる公務員試験の区分は?
- 専門卒公務員の試験難易度はどのくらい?
- 専門卒でも国家公務員になれる?
- 公務員の副業は本当にできない?
- 専門卒と大卒で公務員の生涯賃金にどれくらい差がある?
質問1.専門卒で受けられる公務員試験の区分は?
専門卒で受けられる公務員試験の区分は、主に「高卒程度試験」「短大卒程度試験」「専門卒区分」の3つです。
国家公務員一般職試験では、「高卒者試験」と「大卒程度試験」の区分があり、専門卒は高卒者試験を受験できます。
地方公務員では、自治体ごとに「初級(高卒程度)」「中級(短大卒程度)」「上級(大卒程度)」の区分が設定されており、専門卒は中級区分での受験が一般的です。
専門卒の場合は、中級区分での受験が標準ルートですが、自治体によっては上級区分への受験資格を持つこともあります。
受験前に、希望する自治体・省庁の最新の受験要件を必ず確認しておくことが大切です。
質問2.専門卒公務員の試験難易度はどのくらい?
専門卒公務員の試験難易度は、受験する区分によって大きく異なります。
中級区分(短大卒程度)の試験難易度は、高卒区分よりやや高く、大卒区分よりは易しい水準にあります。
主な試験科目は、教養試験(数的処理・文章理解・社会・自然)、専門試験(法律・経済・行政)、論文試験、面接試験の組み合わせです。
合格率は自治体や年度によって変動しますが、人気の高い大都市圏自治体では10倍から20倍の倍率になるケースもあります。
専門卒公務員の試験は、半年から1年の計画的な学習で対応できる難易度ですが、独学より公務員予備校を活用した方が合格率が高まる傾向にあります。
専門学校在学中から準備を始めれば、卒業後すぐの試験で合格を狙えます。
質問3.専門卒でも国家公務員になれる?
専門卒でも国家公務員になることは可能です。
国家公務員一般職試験(高卒者試験)は、高校卒業見込み者と高校卒業後2年以内の人が受験できる試験で、専門卒も同等の扱いで受験できます。
国家公務員専門職試験では、税務職員採用試験・刑務官採用試験・皇宮護衛官採用試験などがあり、いずれも高卒程度の試験区分で受験可能です。
ただし、国家公務員総合職試験は大卒程度・院卒程度の区分のみで、専門卒では原則受験できません。
専門卒で国家公務員を目指す場合は、一般職(高卒者試験)または専門職試験が中心ルートとなります。
受験要件は年度ごとに変更される可能性があるため、人事院の最新の受験案内を確認することが必要です。
質問4.公務員の副業は本当にできない?
公務員の副業は、原則として法律で制限されていますが、許可制で認められる範囲もあります。
国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条では、営利企業の役員兼業や報酬を伴う業務への参加には任命権者の許可が必要と定められています。
許可なく行える副業は、次のような範囲に限られます。
- 不動産投資のうち小規模なもの(5棟10室未満かつ年収500万円未満が目安)
- 株式投資・投資信託などの資産運用
- 家業の手伝い(無報酬の範囲)
- 講演・執筆活動(任命権者の許可があれば可)
近年は、社会貢献活動としての副業を許可制で認める自治体も増えており、副業解禁の動きが少しずつ広がっています。
公務員の副業は完全禁止ではなく、許可制を前提とした制限であるため、副業をしたい場合は所属組織のルールを事前に確認することが必要です。
副業の自由度を重視する場合は、民間企業の方が選択肢が広いといえます。
質問5.専門卒と大卒で公務員の生涯賃金にどれくらい差がある?
専門卒と大卒で公務員の生涯賃金には、約2,000万円から3,000万円の差が生じることがあります。
労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2023」によると、大卒で60歳までフルタイムで働いた男性の生涯賃金は、正社員で約2億4,700万円という結果でした。
公務員の場合も、大卒は課長以上の管理職に到達しやすく、生涯賃金で2億2,000万円から2億5,000万円程度が目安となります。
一方、専門卒(短大卒区分)の公務員は、生涯賃金で約2億円前後が一般的な水準です。
ただし、専門卒は大卒より早く社会に出るため、勤続年数が長くなり、退職金で有利になる側面があります。
専門卒と大卒の生涯賃金差は約2,000万円程度ですが、専門卒は早期就職による退職金の積み立てで一部を補える設計です。
専門卒のキャリアで生涯賃金を最大化するには、昇進試験への挑戦と資格取得で年収を底上げすることが鍵となります。
9.&emotionで専門卒から公務員以外の進路も整理しませんか?
専門卒の進路として、公務員は安定した選択肢のひとつですが、それ以外の道を検討する余地もあります。
将来の年収やキャリアの広がりを考えると、民間就職、特に成長業界であるIT業界を視野に入れる人が増えています。
それでも、何から学び、どう就職活動を進めればよいのか分からず、最初の一歩で悩むケースは少なくありません。
&emotionでは、専門卒・未経験の方を対象に、無料の研修を通じてITの基礎を学びながら、就職までを一貫してサポートしています。
公務員とIT業界のどちらが自分に合うのか、といった段階から進路を整理することも可能です。
進路や就職の方向性で迷ったときは、&emotionに気軽に相談してみてください。
相談だけでも問題なく、無理な営業はないので、安心してご利用いただけます。
まとめ
専門卒で公務員を目指す場合、初任給は地方公務員(短大卒区分)で月18万3,790円、初年度年収で約303万円が目安です。
年代別では、20代で約300万円、30代で約450万円、40代で約590万円、50代で約650万円と段階的に上昇し、定年退職時には退職金で約2,100万円を受け取れる設計になっています。
ボーナスは年4.65カ月分、生涯賃金は約2億円前後と、長期的に安定した収入を確保できる職業といえます。
一方で、若いうちの年収は民間より低くなりやすく、副業制限や成果反映の遅さといったデメリットもあります。
公務員以外の進路を含めて検討したい場合は、IT業界などの成長業界を視野に入れることで、選択肢を広げられます。
専門卒という時期的な強みを活かして、自分にとって最適なキャリアを選んでいきましょう。